温熱

1 附子:附子

<対応する証> 寒証、腎陽虚

<神農本草経> 下品

<東洋医学的効能> 逐寒燥湿・散寒止痛、温助腎陽・回陽救逆、

<西洋医学的薬理作用> 抗炎症作用、鎮痛効果、強心作用、血管拡張作用、抗ストレス潰瘍作用、血圧上昇作用、抗ショック作用

<代表的な漢方薬> 八味地黄丸、牛車腎気丸、桂枝加朮附湯、真武湯、麻黄附子細辛湯

<効果的な部位・症状> 冷えによる痛み

 

附子は、トリカブトです。

トリカブトは猛毒ですが、様々な処置をすることによってかなり安全になります。

とはいっても元は猛毒ですので、選択にはかなりの注意が必要です。

キチンとコントロールして用いることができれば、かなり有効な鎮痛効果があります。

また、効果の発現が早いのも特徴です。

なお、附子は最古の漢方書である『傷寒論』から記載があります。

 

附子は、逐寒燥湿・散寒止痛といって、風・寒・湿が体内に侵入し、寒さにより気・血の流れが悪くなり「不通則痛」の原則により痛みが生じた場合に有効です。

また曇りや雨の日の痛みが悪くなる場合にも有効です。

 

温助腎陽・回陽救逆は、腎陽虚を改善するという意味です。

腎陽虚の症状は、腰や膝の冷痛、足が冷えて膝に力が入らない、元気がなく冷えるのを嫌がる、インポテンツ、不妊、夜間頻尿などの症状です。

 

2 呉茱萸:ごしゅゆ

<対応する証> 寒証

<神農本草経> 中品

<東洋医学的効能> 胃痛吐酸・降逆止嘔、散寒止痛

<西洋医学的薬理作用> 体温上昇作用、血流改善作用、鎮痛作用、鎮嘔吐作用、強心作用、血圧上昇作用、抗胃潰瘍作用、胃腸運動亢進作用、止瀉作用、抗掻痒作用、抗アレルギー作用、子宮収縮作用、血小板凝集抑制作用、抗酸化作用

<代表的な漢方薬> 呉茱萸湯、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯

 

呉茱萸は、胃痛吐酸・降逆止嘔といって、胃が寒くなることによる痛みや嘔吐に有効です。

 

散寒止痛といって、寒さによる頭痛、月経痛、胃痛、腹痛に有効です。

 

 

3 丁香:ちょうこう

<対応する証> 寒証、腎陽虚

<開宝本草> 上品

<東洋医学的効能> 暖胃、降逆、温腎

<西洋医学的薬理作用> 鎮痛作用、鎮嘔吐作用、局所麻酔作用、防腐作用、殺菌作用、抗胃潰瘍作用、胆汁分泌促進作用、抗炎症作用、プロスタグランジン生合成阻害作用、スーパーオキサイド生成抑制作用、ラジカル消去作用、血小板凝集抑制作用

<代表的な漢方薬> 治打撲一方、女神散

 

丁香は、暖胃作用といって寒さにより生じた胃痛や腹痛を改善します。

降逆とは胃周辺の気が逆流していることによる嘔吐を改善するという意味です。

丁香は、寒証による嘔吐に効果があることで有名です。

 

温腎とは、腎陽虚を改善するという意味です。

腎陽虚の症状は、腰や膝の冷痛、足が冷えて膝に力が入らない、元気がなく冷えるのを嫌がる、インポテンツ、不妊、夜間頻尿などの症状です。

 

4 半夏:はんげ

<対応する証> 寒証、気鬱、水毒

<神農本草経> 下品

<東洋医学的効能> 燥湿化痰、健脾胃、和中降逆、止嘔吐

<西洋医学的薬理作用> 抗炎症作用、鎮咳作用、制吐作用、鎮静作用、去痰作用、疼痛閾値上昇作用、唾液分泌亢進作用、抗ストレス作用、免疫賦活作用、利尿作用、抗アレルギー作用、高脂血症改善作用

<代表的な漢方薬> 半夏厚朴湯、六君子湯、麦門冬湯、五積散、温経湯、二朮湯、釣藤散、柴胡加竜骨牡蠣湯

 

半夏は、燥湿化痰といって、水毒を改善します。

特に肺周辺の水毒を改善しこれにより胸部の苦悶や咳嗽を改善します。

健脾胃とは、脾(消化機能のこと)の水毒も改善するため、胃腸の機能が改善することです。

和中降逆・止嘔吐とは、気鬱を改善することにより、嘔吐を改善することです。

 

半夏は、去痰止痛といって痰(水毒)を改善することにより痛みを改善する作用を有する代表的な生薬ですが、副作用が強いため長期服用には不向きで、症状が改善した場合、速やかに休薬することをおすすめします。

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