ある程度、証と漢方薬についてご理解していただいた後は、漢方薬の飲み方についてです。
その前に漢方薬には2つの種類があります。
1つめは煎じ薬で、これが本来の漢方薬です。
生薬を煮て、お茶のようにして飲む方法です。
もっとも効果があるのは確かですが、かなり不便です。
外出中も難しいと思います。
もう1つがエキス剤です。
これは煎じ薬を作った後、乾燥させて粉末状にしたものです。
簡易な反面、効果は落ちます。
病院で通常処方されるのは、このエキス剤の方ですので、エキス剤の飲み方をお伝えします。
エキス剤は、通常、お湯か水に溶かして飲みます。
水よりはお湯の方が効果があります。
通常の西洋薬のように漢方薬を溶かさない状態で飲むのはお勧めしません。
溶けづらいため、胃が痛くなったり、効果が低下するからです。
内服する時期は、原則は食間です。
ですが、食後でもやや効果が落ちる程度なので、食後でもいいと思います。
漢方薬はいつ頃に効いてくるのでしょうか?
病院でもよく聞かれる質問です。
「漢方薬は効果が出るのが遅い」
「漢方薬は体質を変えるものだから、時間がかかる」
「そもそも漢方薬とは時間がかかるもの」
こういった話をよく耳にします。
結論からいうと
「漢方薬は場合によっては1包目から効いてきます」
です。
確かに体質を中庸に戻す漢方薬はある程度の時間を要します。
ですが、例えば気虚の改善などであれば1包から効果が出ることも頻回に経験します。
また、便秘や生理痛などの対する駆瘀血剤も1包から効くことが多いです。
要は、漢方薬は急性の病態に対し、急性に対応するときにはすぐに効き、慢性の病態に対して体質を変えるときにはゆっくり効く、ということです。
漢方薬の副作用についてです。
実は、漢方薬は大きな副作用はあまり生じません。
軽い副作用としては、頭痛、胃痛、尿過多、下痢、湿疹などがあります。
ですが、これらの副作用は、副作用というよりむしろ、その漢方薬の直接の作用によるものが多いです。
具体的には、瘀血は血液に不要物が溜まってよどんだ状態ですので、不要物を体外に排出することが必要になります。
これを「瀉下」といいます。
そして、「瀉下」が強く出てしまうと「下痢」になってしまいます。
水毒を改善させると体の中に溜まっていた水が膀胱から出ていくため、「多尿」となります。
これらは程度が軽いのであれば、そのまま漢方薬の内服を継続することをおすすめします。
もちろん、症状がある程度強い場合には内服を中止した方がよいです。
「瞑眩(めいげん、めんげん)」は漢方薬を飲んだ後、一時的に湿疹が出たり、症状が悪化することですが、瞑眩であれば、そのうちおさまってきます。
以前お伝えしたように、偽性アルドステロン症といって、低カリウム血症や高血圧、浮腫、体重増加などをきたすことがありますが、これは副作用です。
この症状が出たのであれば、これは良くありません。
原因となりそうな漢方薬を減量あるいは中止することをお勧めします。
ちなみにこれは甘草という生薬が原因のことが多いため、甘草が多く含まれている漢方薬は要注意です。
甘草が多く含まれていることで有名なのは、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)です。
なお、以前、小柴胡湯(しょうさいことう)で副作用が出たことがニュースになりましたが、これは証が正しくないにも関わらず小柴胡湯を処方したことが原因と考えられています。
なお、証が合っている時は、ほとんど副作用は出ません。