エビデンス、という言葉を聞いたことがありますか?
エビデンスとは西洋医学で用いられる言葉です。
このエビデンスが高いほど信頼できる、ということになります。
詳しくいうと、例えば薬を使う群と使わない群を統計学的に偏りがないように分け、実験者の意図が入らないようにこの2つの群を患者にも医者にも内緒にしておき、結果は別の人間が評価し、さらに別な人間が統計解析をする、ということにするとエビデンスが高くなっていきます。
さらにはこれらを複数の施設間で実施したり、エビデンスが高い実験報告をまとめあげたりすると、最もエビデンスが高くなります。
「漢方薬はエビデンスがない」という話をたまに耳にします。
本当にそうでしょうか?
結論から言うと、これは全くもって正しくありません。
理由の1つ目。
最近ではこれらの西洋医学の手法を用いた論文発表がドンドンされ始めており、いわゆるエビデンスとなっています。
具体的には、腰部脊柱間狭窄症に対する八味地黄丸や牛車腎気丸、膝関節炎に対する防已黄耆湯の効果などです。
このほか、六君子湯が強力な摂食促進作用を持つグレリンの分泌を促進する作用があることなどが報告されています。
ですから、「漢方薬はエビデンスがない」ということ自体、ナンセンスです。
理由の2つ目。
エビデンスでは症例数が大事になってきます。
つまり100例の報告より、10000例の報告の方が信頼されます。
では、漢方薬の症例数はどうでしょうか?
例えばインフルエンザに効く麻黄湯では?
数えきれないくらいの数でしょうね。
軽く億単位でしょう。
もちろん、そのうちのごく一部しか記載は残ってはおりません。
では、記載がないから麻黄湯は信用がないのでしょうか?
麻黄湯は『傷寒論』という漢方薬の重要な本に記載があります。
『傷寒論』は後漢末期から三国時代に書かれた本です。
つまり麻黄湯は2000年以上前から使われているということです。
もし、麻黄湯が効かないとしたら、どうなっているでしょうか?
もちろん、この世からなくなっていますね。
2000年以上も存続し使用され続けているということが、麻黄湯は効果があるという何よりの証拠です。
2000年という長い年月以上に重要なエビデンスがあるのでしょうか?
ちなみに、西洋医学の中で2000年以上の歴史のある薬は1つもありません。
あるとすれば、薬草くらいでしょうが、これは西洋医学には入りません。