漢方薬の印象

ところで、みなさんは漢方薬についてどう思われますか?

 

「古い」

「なんか怪しい」

「よくわからない」

「すぐには効かない」

 

このように思われている方が多いのではないでしょうか。

よくわかります、僕も以前はそう思っていました。

 

ですが、漢方薬を学び、ある程度経験した今の感想は、まったく逆です。

 

「古いどころか、現在でもかなり有効」

「怪しいどころか、西洋医学が効かなくても漢方薬が効くことがかなり頻回にある」

「ちょっと理屈は難しいが、意外に理論的」

「速ければ数分で効果が出る」

 

これが現実です。

つまり一言でいうと、漢方薬には可能性があります!


漢方薬とは

漢方薬は東洋医学に基づき処方される薬剤のことで、約2000年前に中国で発祥し、日本には紀元後56世紀にもたらされました。19世紀後半から西洋医学が主流になると徐々に下火になってしまいましたが、1976年には健康保険医療に導入され、現在は保険診療が可能です。

 

西洋医学と東洋医学は、診察・治療体系がほぼ逆です。西洋医学では身体所見や画像診断、検査などから診断し、病名を確定し、病名および状態に応じた治療を選択していきますが、東洋医学では四診という診察法や独自の考え方から「(患者の「現時点での状態」のことで、西洋医学の「病名」に相当するもの)」を判定し、その証に対応する漢方薬を選択し処方することで治療を行います。

 

西洋医学の病名と東洋医学の証は本質的に異なるため、西洋医学では同じ病名でも異なる漢方薬が処方される(同病異治)ことが多く、同様に西洋医学では異なる病名でも同じ漢方薬が処方される(異病同治)ことが多いです。

 

具体的には、「膝関節炎」に対し、「熱証」であれば越婢加朮湯、「寒証」であれば防已黄耆湯が選択されます。

 

また、患者個人の体質やその時点での状態により「証」は刻々と変化するため、西洋医学的には病気は同じでも、東洋医学ではその変化した「証」に応じた漢方薬を選択する必要があります(「個」の医学)

 

さらに、東洋医学では心と身体は一体であり、お互いに影響しあうものと考えています(心身一如)。具体的には各種の痛みに対し、いわゆる「うつ」や「怒り」に対応する漢方薬を処方する(順に、半夏厚朴湯、抑肝散)ことにより、痛みが改善することがよくあります。


生薬

漢方薬は、複数の生薬を組み合わせて作られています。

生薬は、動物、植物、鉱物、化石由来であり、これらを加工して複数組み合わせて使います。

 

生薬はそれぞれ多様な化学物質を含んでいるため、これらが総合的に機能し、効果が得られます。

このように多種多様な化学物質からできているため、漢方薬は多種多様な状態に有効だと考えられます。

 

生薬と化学物質の例としては、麻黄には血圧上昇作用のあるエフェドリン甘草にはコルチコイド様作用のあるグリチルリチン桂枝には解熱作用のあるケイアルデヒドが含まれています。


漢方薬の副作用

漢方薬には副作用があるのでしょうか?

 

実は、漢方薬にも副作用はあります。

ただし、西洋医学の薬と比較して、副作用は少ない印象があります。

 

この理由は漢方薬の作られ方にあります。

前にもお伝えしたように、漢方薬は生薬を数種類混ぜて作られます。

 

生薬の中には、副作用を緩和あるいは中和する作用があるものがあります。

そしてこれら副作用を抑える生薬が多数の漢方薬にあらかじめ含まれています

具体的には、甘草、生姜、大棗副作用を抑える働きがあり、各種の漢方薬に含まれています。


偽性アルドステロン症

偽性アルドステロン症という病気を聞いたことがありますか?

これは漢方薬の有名な副作用です。

 

この病気をわかりやすくいうと、アルドステロンというホルモンの分泌が多くないにもかかわらず、アルドステロンが多く分泌されているような状態になっていることです。

 

症状としては、高ナトリウム血症、低カリウム血症、浮腫、高血圧などが出現します。

 

具体的には生薬の1つである、甘草に含まれるグリチルリチンという成分が原因と考えられています。

 

ですので、甘草が多く含まれている漢方薬には注意が必要です。

こむら返りによく効くといわれている芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)が最も甘草の量が多いため、特に注意が必要です。

 

これら漢方薬の副作用ですが、基本的に「証」の判断を誤り、適切でない漢方薬を使ってしまった場合に多い、といわれております。

 

僕の経験でも、偽性アルドステロン症などの副作用は極めて稀です。